医師なった経緯・美容医療へ転科された経緯。

親兄弟含め、親族に医師が多かったこともあり、私も自然の流れで医師を志すようになりました。
私は産業医科大学出身で、そこは名前の通り産業医を育成するための大学なので、女子学生の9割が産業医の道へ進み、私も産業医になるつもりでいました。
当時から女性や、女性の活躍・社会進出に興味があり、卒業後は産業医になって女性の多く働く化粧品会社や航空関係の会社で働きたいと考えていました。
産業医はサブスペシャルティとして別の専攻を持つこともできるので、そこでも女性と関わることの多い皮膚科か婦人科で悩み、皮膚科を選びました。 そして皮膚科の延長として、美容皮膚科に興味を持ったことがきっかけで美容医療の世界を知りました。
多くの女性は結婚、妊娠、出産、育児を経験します。仕事とのバランスを考えながらこれらをこなすのは大変です。美容のことも考えるとなるとさらに大変です。一方で、美容が仕事や家事への大きな活力になることもあります。
産業医としてではなく美容という側面からではありますが、女性を応援したいという思いで本格的に美容医療へ足を踏み入れました。

実際に研修先を選ばれる上で大切にされたポイントを教えて下さい。

私が研修先として選んだのは、湘南美容クリニックです。結婚を機に関西に来ましたが、タイミングとしては丁度美容に転科したばかりで、人脈や土地勘がなく少し不安な気持ちがありました。そのため横の繋がりができたり、しっかりとした研修体制の下で技術を習得していきたいと考え、業界最大手のクリニックを選びました。

クリニックは注入治療に特化されていますよね。

当院は注入専門のクリニックなので注入治療がメインです。
ヒアルロン酸やボトックスなどベーシックな治療がメインですが、最近は欧州を中心に、バイオリモデリング製剤を用いた治療が注目されているので、良いものがあれば随時取り入れていきたいと考えています。
注入以外の治療メニューについては、ニーズはありますが今のところは積極的に増やしていく予定はありません。
注入治療は奥が深く、まだまだ学ぶベきことや知りたいことがたくさんあるのでそれを追いかけるだけで手一杯です。あまり器用な方ではないのだと思います。
私が湘南美容クリニックにいた当時、ご縁からクリニックがプロデュースをした南青山メディカルエステティック心斎橋院（MAME）という注入専門クリニックの院長に就任し、立ち上げ業務から携わらせていただく機会がありました。
それまでは湘南美容クリニックで美容外科・美容皮膚科の幅広い治療に携わってきましたが、MAMEの院長となったことを機に注入三昧の日々を過ごすことになりました。
その日々の中で注入の魅力と楽しさにはまったことが、注入専門のクリニックを開業した理由の１つです。
あの経験がなければ、注入専門クリニックにはなっていなかったかもしれません。
現在はこれまでの経験を活かしアラガンの認定指導医として、セミナー講師を務めたり様々なクリニック様へ注入指導を行っています。大変光栄なことですし、何より自分の勉強になります。

開業は元々お考えだったのでしょうか。

元々は開業する予定はありませんでした。
治療の奥深さを学び、それを楽しいと感じるにつれて、もっと時間をかけたいと思うようになりました。しかし、勤務医の立場では時間単価や効率も考えないといけません。
やりたいことと求められていることとの間に少しずつギャップを感じるようになりました。
開業をすれば自分のやりたいようにできますし、どれだけこだわりに時間とコストを割いても誰にも迷惑をかけません。
好きな注入治療に没頭できる場が欲しいと思うようになり開業を決めました。
思い立ったら迷いなく進むタイプなので、開業を思いついてから約4ヶ月後にクリニックをオープンしました。
便利な立地や、凝った内装など、こだわるべき部分はたくさんあると思いますが、私の場合は目的が明確だったので迷ったり悩んだりすることはほとんどありませんでした。
物件も、ふらっと入った近所の不動産屋さんで最初に案内された物件に決めたほどです。

美容医療へ転科や開業を志している先生へアドバイスをお願い致します。

“美容医療が好き、おもしろい” と思えることが絶対条件だと思います。
好きでないと学び続けることができず成長もできません。
美容の医師は華やかで、コミニュケーション能力が高い医師が多いイメージがあり、自分がやっていけるか心配 という先生もいらっしゃるかもしれません。
でも、いろんなドクターがいるようにいろんな患者様がいらっしゃり、不思議と自分と似た感性の患者様が集まりますので、無理する必要はないと思います。
美容医療の中で「これ！」と思うものがあれば、そこをとことん追求したクリニックを開業するのもいいと思います。専門性を持つことで自分の学ぶべきことが明確になりますし、クリニックの方針がブレにくいです。
専門性が集客につながることもあります。

私も挑戦の道半ばではありますが、人生は１度きりなので、自分の興味のあることやりたいことに信念を持って真面目に取り組めば、きっと結果はついてくると思います。